1歳児クラスの中で一番小さいSちゃんはいつも好奇心いっぱい。
部屋の扉が開くやいなや外へと飛び出して行きます。
不思議なことに部屋のどこにいてもすぐに気づき、
すぅーっと目にもとまらぬ速さで隙間をすり抜け廊下へ。
追いかけていくと〝してやったり!″の笑顔が可愛らしくて、
ついこちらも笑ってしまうのです。
玩具にもご飯にも興味を持ったものにはまっしぐら!
目を合わせてゆっくりコミュニケーションを…と思っても、
いつもSちゃんのペースに乗せられっぱなしでした。
そんな中、Sちゃんが疲れてだっこを求めてきた時、
一度落ち着いたのを見計らって、正面に座ってもらい、
【いっぽんばしこちょこちょ】を始めてみました。
案の定、途中で手を引っ込めてしまい、
半ば突撃するような格好で最後のこちょこちょを行い終了。
(Sちゃんにはまだ早かったかな…。)と思っていました。
ところが翌日、私の膝に座った時に思わず
【いっぽんばしこちょこちょ】でもする?」とつぶやいたところ、
さっと振り返って手のひらをこちらに差し出したのです!
せわしない動きの中でもSちゃんなりに
〝面白かった″と、と受け止めていてくれたのですね。
それからは合言葉のように、誘うと手を差し出してくれるようになりました。
友達がわらべうたをしているところにも参加し始め、
1人の順番なら待てるようになり、
【ふくすけさん】【いけのはたもーて】とレパートリーも増えていきました。
一つ終わったら次のわらべうたを仕草でリクエストして、
とSちゃんのフルコース(⁉)も完成。
(特に口を前に出して【いけのはたもーて】をリクエストする姿は本当に愛らしいのです!)
Sちゃんのわらべうたの世界が広がるとともに、
普段からこちらの話も聞けるようになっていき、
わらべうたと一緒に成長を見守る形となりました。
最近では「お友達の玩具は取ってはだめよ。」と目を見て諭した時に、
〝これはマズイ‼″という表情で慌てて手のひらを差し出し、
〝それより、わらべうたしようよ!″と言うようにごまかそうとする姿も。
思わず吹き出しそうになってしまいました。
疲れると必ず抱っこを求めていたのが、
わらべうたのリクエストもするようになり、
気持ちの休憩の際にもわらべうたを使っているように見えます。
わらべうたはSちゃんにとっても頼りになる存在のようです。
Sちゃんの成長であらためて、
わらべうたは子どもたちと大人とのコミュニケーションツールだなと感じました。
小さな人たちへの言葉ではまだ届かない気持ちを、
わらべうたが通じ合わせてくれるような気がします。
わらべうたの持つ力の強さを実感した出来事でした。
(sayo-A)