お茶をのみに来てください♫

子どもの育ちにそって大人と子どもが一緒にあそべる「わらべうた」の世界。保育や子育て支援の現場でわらべうたをしてきた「ゆずりはわらべうたインストラクター」の仲間たちが、日々思うこと、活動報告、あそびのアイデアなどを綴ります。

おてんば S ちゃん

1歳児クラスの中で一番小さいSちゃんはいつも好奇心いっぱい。

部屋の扉が開くやいなや外へと飛び出して行きます。

 

不思議なことに部屋のどこにいてもすぐに気づき、

すぅーっと目にもとまらぬ速さで隙間をすり抜け廊下へ。

 

追いかけていくと〝してやったり!″の笑顔が可愛らしくて、

ついこちらも笑ってしまうのです。

玩具にもご飯にも興味を持ったものにはまっしぐら!

目を合わせてゆっくりコミュニケーションを…と思っても、

いつもSちゃんのペースに乗せられっぱなしでした。

 

そんな中、Sちゃんが疲れてだっこを求めてきた時、

一度落ち着いたのを見計らって、正面に座ってもらい、

【いっぽんばしこちょこちょ】を始めてみました。

 

案の定、途中で手を引っ込めてしまい、

半ば突撃するような格好で最後のこちょこちょを行い終了。

(Sちゃんにはまだ早かったかな…。)と思っていました。

 

ところが翌日、私の膝に座った時に思わず

【いっぽんばしこちょこちょ】でもする?」とつぶやいたところ、

さっと振り返って手のひらをこちらに差し出したのです!

せわしない動きの中でもSちゃんなりに

〝面白かった″と、と受け止めていてくれたのですね。

 

それからは合言葉のように、誘うと手を差し出してくれるようになりました。

 

友達がわらべうたをしているところにも参加し始め、

1人の順番なら待てるようになり、

【ふくすけさん】【いけのはたもーて】とレパートリーも増えていきました。

一つ終わったら次のわらべうたを仕草でリクエストして、

とSちゃんのフルコース(⁉)も完成。

(特に口を前に出して【いけのはたもーて】をリクエストする姿は本当に愛らしいのです!)

 

Sちゃんのわらべうたの世界が広がるとともに、

普段からこちらの話も聞けるようになっていき、

わらべうたと一緒に成長を見守る形となりました。

 

最近では「お友達の玩具は取ってはだめよ。」と目を見て諭した時に、

〝これはマズイ‼″という表情で慌てて手のひらを差し出し、

〝それより、わらべうたしようよ!″と言うようにごまかそうとする姿も。

 

思わず吹き出しそうになってしまいました。

 

疲れると必ず抱っこを求めていたのが、

わらべうたのリクエストもするようになり、

気持ちの休憩の際にもわらべうたを使っているように見えます。

わらべうたはSちゃんにとっても頼りになる存在のようです。

 

Sちゃんの成長であらためて、

わらべうたは子どもたちと大人とのコミュニケーションツールだなと感じました。

小さな人たちへの言葉ではまだ届かない気持ちを、

わらべうたが通じ合わせてくれるような気がします。

わらべうたの持つ力の強さを実感した出来事でした。

 

(sayo-A)